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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
待つ間でもなく、義禁府の責任者らしい男が現れた。明姫の父親ほどの歳の男が建物の回廊に佇み、明姫を無表情に見下ろしている。
「金淑媛さまにお訊き致します。この度、畏れ多くも中殿さま毒殺を企てたのは、淑媛さまで間違いありませんな?」
それは質問というよりは、決定事項を形式的に確認するだけという感じであった。
明姫は椅子に縛りつけられたままの体勢ながら、真正面から義禁府長を見上げた。凜とした声音で応える。
「既に何度も申し上げましたように、私は無実です。中殿さまを殺害し奉るなど怖ろしきことを企てたりしてはおりません」
「金淑媛さまにお訊き致します。この度、畏れ多くも中殿さま毒殺を企てたのは、淑媛さまで間違いありませんな?」
それは質問というよりは、決定事項を形式的に確認するだけという感じであった。
明姫は椅子に縛りつけられたままの体勢ながら、真正面から義禁府長を見上げた。凜とした声音で応える。
「既に何度も申し上げましたように、私は無実です。中殿さまを殺害し奉るなど怖ろしきことを企てたりしてはおりません」