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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 
「ここまで来れば、もう良いだろう」
 どれだけ歩いたのか、ふと、明姫を抱えて歩くユンが呟いた。かと思うと、熱い滴が明姫の顔に落ちてくる。
「泣いていらっしゃるのですか?」
 戸惑い気味に訊ねても、ユンは無言だった。
「国王殿下がご側室を奪い返すために単身、義禁府に乗り込まれただけでも大変なことです。更に皆がいる前でお泣きになっては、殿下のご面目に拘わりますから」
 背後に控えていた黄内官が代わりに応えてくれた。
「ごめんなさい。私なんかのために」
 私、ユンをまた困らせてしまった。
 明姫が声を詰まらせると、今度はユンの声が返ってきた。
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