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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
そう考えただけで、心が妖しく波立つのは何故なのか。この女が男の持ってきた桜草を嬉々として花瓶に活ける姿を想像しただけで、心がどす黒いものに染まってしまいそうだ。
もしかして、これは嫉妬―。明姫は愕然とした。互いに名前どころか、どこの誰とも知らないのに、恋に落ちるなんてことが現実にあり得る? いや、向こうは自分のことなど何とも思っていないのはよく判っているから、これは自分だけの勝手な横恋慕にすぎない。
「お姉ちゃん、綺麗」
突然、話しかけられて、明姫は現実に引き戻される。男の子―マルが大きな眼を輝かせて見上げていた。
もしかして、これは嫉妬―。明姫は愕然とした。互いに名前どころか、どこの誰とも知らないのに、恋に落ちるなんてことが現実にあり得る? いや、向こうは自分のことなど何とも思っていないのはよく判っているから、これは自分だけの勝手な横恋慕にすぎない。
「お姉ちゃん、綺麗」
突然、話しかけられて、明姫は現実に引き戻される。男の子―マルが大きな眼を輝かせて見上げていた。