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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
次にめざめた時、既に傍らにユンの姿はなかった。慌てて狭い房内を探してみても、やはり彼はいない。落胆と淋しさが一度に押し寄せ、明姫の眼に涙が滲んだ。
せめて帰るのを見送りたかったのに、自分は昨夜、四度も気をやってしまった挙げ句、だらしなくも泥睡していたらしい。と、房内の片隅に置いてある文机の上の紙片が眼に付いた。
―また必ず来る。
たったそれだけしか書いていなかった。明姫が写経に使っている硯や筆を使ったのだろう。男らしい伸びやかな手蹟はユンのものに違いない。
明姫は小さな紙片を胸に抱いて泣いた。もう、離れられない。離れたくない。
せめて帰るのを見送りたかったのに、自分は昨夜、四度も気をやってしまった挙げ句、だらしなくも泥睡していたらしい。と、房内の片隅に置いてある文机の上の紙片が眼に付いた。
―また必ず来る。
たったそれだけしか書いていなかった。明姫が写経に使っている硯や筆を使ったのだろう。男らしい伸びやかな手蹟はユンのものに違いない。
明姫は小さな紙片を胸に抱いて泣いた。もう、離れられない。離れたくない。