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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
…ある秋晴れの日、薫は渋々と馬術部の練習に参加していた。
…サボるとお母様に何を言われるかわかりゃしないからな…。
ぶつぶつ言いながらも真面目に馬のメンテナンスをしていると、鹿毛の駿馬に跨った鷹司紳一郎が音もなく現れた。
シルクハットに黒い燕尾服のジャケット、白い乗馬パンツに黒革の乗馬ブーツと正装が憎いほど良く似合う。
薫の傍に馬を着けると、にっこり笑いながら手袋を外した。
「最近は真面目に出るようになったんだな」
「…ウチの鬼ババが怖いからですよ…」
…言いかけて、鷹司の白く美しい指に思わず釘づけになる。
白くしなやかな人差し指に銀色の武骨な指輪が光っていた。
隣にいた暁人が思わず声を上げる。
「先輩…その指輪…!」
「…もしかして…森番に会えたの⁈」
鷹司は端正な白皙の美貌に澄ました…しかし見たことがないほど幸せそうな笑みを浮かべ、ウィンクをした。
「…さあね。…秘すれば花と言うからね…」
そして馬に鮮やかに鞭をくれ、呆気に取られる薫と暁人を残して、美しい後ろ姿を見せながら颯爽と駆けて行ったのだった。
La Fin
〜緑に睡る〜
…サボるとお母様に何を言われるかわかりゃしないからな…。
ぶつぶつ言いながらも真面目に馬のメンテナンスをしていると、鹿毛の駿馬に跨った鷹司紳一郎が音もなく現れた。
シルクハットに黒い燕尾服のジャケット、白い乗馬パンツに黒革の乗馬ブーツと正装が憎いほど良く似合う。
薫の傍に馬を着けると、にっこり笑いながら手袋を外した。
「最近は真面目に出るようになったんだな」
「…ウチの鬼ババが怖いからですよ…」
…言いかけて、鷹司の白く美しい指に思わず釘づけになる。
白くしなやかな人差し指に銀色の武骨な指輪が光っていた。
隣にいた暁人が思わず声を上げる。
「先輩…その指輪…!」
「…もしかして…森番に会えたの⁈」
鷹司は端正な白皙の美貌に澄ました…しかし見たことがないほど幸せそうな笑みを浮かべ、ウィンクをした。
「…さあね。…秘すれば花と言うからね…」
そして馬に鮮やかに鞭をくれ、呆気に取られる薫と暁人を残して、美しい後ろ姿を見せながら颯爽と駆けて行ったのだった。
La Fin
〜緑に睡る〜