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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第10章 初月の夜も貴方と
「…そんな…いいんだよ。…僕は…ただ…君の立場が不利にならなければ、それでいいんだ。
…僕は兄さんにも義姉さんにも薫にも…縣の家では月城との関係を認めて貰えている。君と一緒に皆でイブを祝うこともできた。…これ以上望んだら罰が当たる…」
懸命に笑みを浮かべる暁の眦から透明な涙が一粒溢れ落ちる。
その涙を愛おしげに唇で吸う。
「…罰など当たりません。…一緒に私の故郷に行ってください。…貴方に私の故郷をお見せしたいのです。
寂れた…貧しい小さな村です。
正直、愛着もなにもなかった。…こんな希望もなにもない場所で…自分はこのまま、この閉ざされた灰色の村で生涯を終えてゆくと十代の私は諦めていました。…けれど、北白川伯爵が私に希望の光の道を指し示してくれた。
…そして私は…貴方に巡り会えた。
私の原点は、小さなその故郷です。
…貴方に私のすべてを知っていただきたいのです。
…駄目ですか…?」
暁は泣きながら綺麗に笑った。
そして、ほっそりした腕で月城の首筋にしがみついた。
「…駄目じゃない。…連れて行って…君の故郷に…」
…ありがとう…と震える細い声が、けれどしっかりと囁き、月城は腕の中の最愛の伴侶を強く抱き締めた。
…僕は兄さんにも義姉さんにも薫にも…縣の家では月城との関係を認めて貰えている。君と一緒に皆でイブを祝うこともできた。…これ以上望んだら罰が当たる…」
懸命に笑みを浮かべる暁の眦から透明な涙が一粒溢れ落ちる。
その涙を愛おしげに唇で吸う。
「…罰など当たりません。…一緒に私の故郷に行ってください。…貴方に私の故郷をお見せしたいのです。
寂れた…貧しい小さな村です。
正直、愛着もなにもなかった。…こんな希望もなにもない場所で…自分はこのまま、この閉ざされた灰色の村で生涯を終えてゆくと十代の私は諦めていました。…けれど、北白川伯爵が私に希望の光の道を指し示してくれた。
…そして私は…貴方に巡り会えた。
私の原点は、小さなその故郷です。
…貴方に私のすべてを知っていただきたいのです。
…駄目ですか…?」
暁は泣きながら綺麗に笑った。
そして、ほっそりした腕で月城の首筋にしがみついた。
「…駄目じゃない。…連れて行って…君の故郷に…」
…ありがとう…と震える細い声が、けれどしっかりと囁き、月城は腕の中の最愛の伴侶を強く抱き締めた。