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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
お茶会がお開きになると、人々は隣室の音楽室に場所を移した。
綾香のサロンコンサートが、開催されるのだ。

綾香の唄は相変わらず頗る人気だ。
正式なオペレッタから最新流行の歌謡曲まで幅広く華麗に唄いこなす彼女にはコンサートの依頼は引きも切らずなのだ。
その上、綾香の華やかな宝石のような美貌は益々輝くばかりで、人々は一目その麗しの伯爵令嬢の姿を見、唄を聴きたいと数少ないコンサートに殺到するのだった。
綾香は慈善事業の為のコンサートと、かつて唄っていた浅草カフェでの月に一度のコンサート以外出演しようとはしない。
それは全て、愛する異母姉妹の梨央との時間を大切にしたいという理由からだった。
梨央はかなり丈夫になったとはいえ、まだまだ身体が弱く、綾香は眼を離すのを嫌がったのだ。

しかしながら梨央は、この頃は綾香のコンサートのピアノの伴奏を務めるまでに心の成長を遂げた。
「お姉様のお唄が一番映えるような伴奏をしたいの。
梨央が誰よりも私の唄を分かってくれているから…て、お姉様は仰ってくださったの」
そう恥ずかしそうに…しかし誇らしげにその美しい瞳を輝かせて暁に聞かせてくれたのだ。

そんな梨央を暁は心から美しいと思った。
…愛情と信頼の関係…。
暁にとって梨央と綾香は、理想の愛の形を築いた憧れの存在であった。
「…梨央さんと綾香さんのような関係になれるのが、僕の理想です」
かつて暁は梨央に告げたことがある。
…自分と月城の間に信頼関係がないとは思わないが、暁は常に月城の愛を確認せずにはいられない…神経症めいたところがあった。

すると梨央は、その無垢な少女のような眼差しで蠱惑的に微笑み、こう答えた。
「…そうなるには、貴方がたはお互いを激しく愛しすぎているのかも知れないわね」

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