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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
炊き出しは大盛況のうちに終わった。
集まった人々が満足気に礼を言いながら帰るのを、暁は安堵の気持ちで見送った。
…この食事でほんの少しでも生きる希望を感じてくれたら嬉しいな…。
テーブルの後片付けをしていると
「…皆さん、喜んで下さいましたね」
思いがけずに近いところから声が聞こえ、振り返る。
藍染がテーブルクロスを手に、優しげな眼差しで暁を見下ろしていた。
「うん。良かったよ。…藍染くんも今日はありがとう。
君がいてくれたお陰でとても順調に配給することができた」
配給を待つ人々を捌くことから、料理の盛り付け、ラスクの配給、皿やグラスの後片付けと、藍染は言われなくてもてきぱきと仕事をこなしていた。
その機転の良さに暁は感心したのだ。
そう微笑むと、藍染が少し照れたように頭を掻いた。
「そんな…。大したことはしていないですよ。
…それより…。貴方のお役に立てて良かったです」
純粋な眼差しを受け、暁はこそばゆい気持ちになる。

教会の奥の扉が開き、仁の声が響く。
「暁様!食事を始めましょう!みんな待ってますよ!」
「今、いくよ」
仁にそう答え、暁は藍染を見上げる。
「ねえ、君も一緒に食事していかないか?」
「食事…ですか?」
暁は美しい貌に優し気な笑みを浮かべる。
「炊き出しの日はここの子ども達へのご褒美としてビストロのシェフが洋食のフルコースを振る舞うことになっているんだ。
きちんとしたテーブルマナーも身につくし、彼らに豊かな経験をさせてあげたくてね…。
子ども達もこの日をとても楽しみにしてくれているんだ。
…今日は君が手伝ってくれて、とても助かったからお礼がしたい。ぜひ一緒に食べていってくれ」
「…暁様は本当に慈愛深い方ですね…」
藍染は眩しそうに暁を見つめると、素直に頷いた。
「…喜んで…。暁様」
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