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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
翌日の夜遅く、暁は意を決して北白川家を訪ねた。
どうしても、月城の口から真実を聞きたい。
その思いが暁を北白川家へと赴かせたのだ。

暁の突然の訪問に副執事は慌てて丁重に、中に招き入れた。
「夜分に突然伺って済まない。…月城はいるだろうか?」
夜遅い時間だと言うのに、目が醒めるような端麗な美貌の暁に副執事はやや眩しげな貌をしながら、返答する。
「は、はい!…先程梨央様とご一緒に九条子爵様のお屋敷から戻られたところでございます。
…君、月城さんをこちらまでお呼びしてくれ」
近くのメイドに口早に命じる。
メイドは膝を折り、素早く大階段を駆け上がった。
「済まない…。忙しいのに手間をかけさせてしまって…」
暁は極力、私的に月城に会いに行くのは避けていた。
暁と月城の関係は屋敷で働く者には周知の事実であった。
だが、月城の執事の威厳と、彼の辺りを払うような禁欲的な尊厳を出来るだけ損ないたくない思いから、暁は個人的に会いに行くことは控えていたのだ。
今も何があったのかと心配気に暁を見る副執事の視線から避けるように貌を背ける。
「暁様、客間の方にご案内いたします」
気を利かせる副執事に頷こうとした時、大階段の階上から冴え渡る靴音が響いてきた。

「暁様。どうなさったのですか?」
滑るようにしなやかに階段を降りてくる美しい男のシルエットに思わず見惚れる。
「…月城…」
昨日からの不安な思いが一瞬、消え失せる。
彫像のように美しく端整な男の姿に、胸が締め付けられるような思慕を感じる。
「…いきなり来てすまない。…許してくれ…」
貌をまともに見ると取り乱してしまいそうで俯き、小声で詫びる。
「いえ。そんなことは良いのです。何かあったのですか?」
月城の気遣うような優しい声に、勇気を振り絞り、貌を見上げる。
「…月城…実は…君に聞きたいことがある…。どうしても今直ぐに確かめたくて…」
月城の端整な眉が寄せられる。
暁の切羽詰まった表情を見て、只事ではないと察した月城は暁の背中に優しく手を置いた。
「…では、客間で伺いましょう。さあ、こちらへ…」
「…うん…ありがとう…」

二人が廊下を歩き出した時…。
二階の踊り場から緊迫したメイドの声が響いてきた。
「つ、月城さん!大変です!梨央様が急に苦しまれて…喘息の発作を起こされているようなのです!すぐにいらして下さい!」









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