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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
暁は車から降りると、ゆっくりと大理石の階段を上がり、重厚かつ豪奢な屋敷を見上げた。
…懐かしい…やはり安心する家の佇まいが暁を見下ろしてくれる。
ぼんやり立ち尽くす暁の前に重い扉が開かれ、執事の制服姿の泉が現れた。
「暁様!ようこそいらっしゃいました」
愛おしい男に良く似た風貌の青年を見上げ、暁は小さく笑って見せた。
「…急に来てしまって…すまない…」
そんな暁を温かく見つめ、丁重に中へと促す。
「皆様お待ちですよ。さあ…」
開かれた扉の中に脚を踏み出す。
「暁伯父ちゃま!」
シフォンのふわふわしたドレスを着た菫が、ぱたぱたと足音を立てながら暁に駆け寄り、抱きつく。
「菫…!」
思わず笑みがこぼれる。
抱き上げた暁に菫は天使のような笑みを浮かべた。
「伯父ちゃま!いらっしゃい!今夜はお泊りするんでしょ?」
答えに窮していると、ホールの奥…大階段から低い美声が響いてきた。
「菫、暁伯父ちゃまはこれからずっとこのお家にお泊りするのだよ」
声の方を振り仰ぐ。
「…兄さん…」
極上の黒いテイルコートにホワイトタイを締めた礼也が美しい立ち姿を見せながら、ゆっくりと階段を降りて来る。
「…お帰り、暁。待っていたよ」
「…兄さん…僕は…」
思わず言葉が詰まる。
暁の前に立った礼也は、優しく包み込むように微笑み、彼を抱きしめた。
「…何も言わなくていい。…さあ、着替えておいで。
皆で晩餐にしよう」
…懐かしい…やはり安心する家の佇まいが暁を見下ろしてくれる。
ぼんやり立ち尽くす暁の前に重い扉が開かれ、執事の制服姿の泉が現れた。
「暁様!ようこそいらっしゃいました」
愛おしい男に良く似た風貌の青年を見上げ、暁は小さく笑って見せた。
「…急に来てしまって…すまない…」
そんな暁を温かく見つめ、丁重に中へと促す。
「皆様お待ちですよ。さあ…」
開かれた扉の中に脚を踏み出す。
「暁伯父ちゃま!」
シフォンのふわふわしたドレスを着た菫が、ぱたぱたと足音を立てながら暁に駆け寄り、抱きつく。
「菫…!」
思わず笑みがこぼれる。
抱き上げた暁に菫は天使のような笑みを浮かべた。
「伯父ちゃま!いらっしゃい!今夜はお泊りするんでしょ?」
答えに窮していると、ホールの奥…大階段から低い美声が響いてきた。
「菫、暁伯父ちゃまはこれからずっとこのお家にお泊りするのだよ」
声の方を振り仰ぐ。
「…兄さん…」
極上の黒いテイルコートにホワイトタイを締めた礼也が美しい立ち姿を見せながら、ゆっくりと階段を降りて来る。
「…お帰り、暁。待っていたよ」
「…兄さん…僕は…」
思わず言葉が詰まる。
暁の前に立った礼也は、優しく包み込むように微笑み、彼を抱きしめた。
「…何も言わなくていい。…さあ、着替えておいで。
皆で晩餐にしよう」