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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「お前はこいつの高価な保釈金を支払ったそうだな。
何故だ?」
「…轟は私の親友です。親友の窮地を救うのは当然の行為です」
月城の答えに対して、その男は唇を歪めて笑った。
「親友ねえ…。なんとも優等生的な答えだな。
さすが大貴族に仕える執事殿は言い訳も清廉だ。
…ま、その綺麗なツラに似合っているがな」
そして瞬時に真顔になり、ブーツの踵を踏み鳴らしながら月城の真前まで近づく。
「…俺にそんな甘い言い訳が通用すると思うなよ。
お前は危険分子のリーダーの保釈を助けたのだ。
お前にもアカの充分な嫌疑がかかったのには間違いないのだからな」
月城は少しも怯まずに憲兵隊の男を見返す。
「…どうぞご随意に…。私は逃げも隠れもしません。何故なら私の潔白は私が一番知っているからです」
…失礼しますと目礼し、男の前を通りすぎる。


その背中に、笑いを含んだ…しかし冷たく挑戦的な声が響いた。
「俺は憲兵隊の少佐、鬼塚徹だ。…また会おう。美貌の執事殿」
男の高笑いを背に、月城は轟を抱えて警察署を後にした。

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