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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て

暁は一晩中泣き続けた。
扉を叩く音は夜通し、続いた。
そこにはもはや思慮深く物静かで優美な貴公子の姿は片鱗もなかった。
その姿はまるで、親に見捨てられた子どものように悲壮感に満ち、余りに痛々しかった。
礼也は暁の部屋の前まで何度も行き、断腸の思いでその場を離れた。
暁は翌日からはひたすらぼんやりとソファに座り込み、窓の外を見つめていた。
泉は何度も部屋を見回り、食事に全く手をつけない暁に胸を痛めた。
「…暁様、お食事を召し上がって下さい。暁様がお身体を壊されたら、兄は悲しみます」
暁はゆっくりと虚ろな瞳で泉を見上げた。
美しいが脱け殻のような姿がそこにはあった。
「…月城は…」
「きっと無事です。兄が貴方を残して亡くなるはずがない。
今、旦那様が密偵を使い兄の行方を調査して下さっています」
「…でも…月城は…僕を置いていった…」
ぽつりと呟いた暁の言葉に泉は言葉を詰まらせた。
「…それは…」
「僕は死ぬなら月城と一緒に死にたいと、ずっと言っていた。守ってくれなくてもいい。二人で死にたかった…。
…月城と離れて一人で生きるくらいなら、死んだ方がましだ。
…絶対に離さないと言っていたのに…なぜ、僕を置いて…。
愛していると言ったのに…一人にしないと言ったのに…。
月城は…月城は僕を捨てたのだ…」
自分の唇から出たその言葉に暁は貌を歪め、とめどない涙を流し続けた。
泉は掛ける言葉も失い、為すすべもなくその場に立ち尽くした。
扉を叩く音は夜通し、続いた。
そこにはもはや思慮深く物静かで優美な貴公子の姿は片鱗もなかった。
その姿はまるで、親に見捨てられた子どものように悲壮感に満ち、余りに痛々しかった。
礼也は暁の部屋の前まで何度も行き、断腸の思いでその場を離れた。
暁は翌日からはひたすらぼんやりとソファに座り込み、窓の外を見つめていた。
泉は何度も部屋を見回り、食事に全く手をつけない暁に胸を痛めた。
「…暁様、お食事を召し上がって下さい。暁様がお身体を壊されたら、兄は悲しみます」
暁はゆっくりと虚ろな瞳で泉を見上げた。
美しいが脱け殻のような姿がそこにはあった。
「…月城は…」
「きっと無事です。兄が貴方を残して亡くなるはずがない。
今、旦那様が密偵を使い兄の行方を調査して下さっています」
「…でも…月城は…僕を置いていった…」
ぽつりと呟いた暁の言葉に泉は言葉を詰まらせた。
「…それは…」
「僕は死ぬなら月城と一緒に死にたいと、ずっと言っていた。守ってくれなくてもいい。二人で死にたかった…。
…月城と離れて一人で生きるくらいなら、死んだ方がましだ。
…絶対に離さないと言っていたのに…なぜ、僕を置いて…。
愛していると言ったのに…一人にしないと言ったのに…。
月城は…月城は僕を捨てたのだ…」
自分の唇から出たその言葉に暁は貌を歪め、とめどない涙を流し続けた。
泉は掛ける言葉も失い、為すすべもなくその場に立ち尽くした。

