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第13章 シーン　13

　大輔がそう言うならばその通りになるような気がする。風間さんとの時もそうだった。大輔にとって、友人も妻も自分の妄想と欲望を掻き立てる道具なのだろうか。あたしの心の中さえ全て自分の快楽を取り戻すために掌握しきっていると思っているような気がする。けれど、本当のあたしの心は少し拗けていた。大輔が好き、そう思う気持ちは変わっていないけれど、なにかその本質的な所で何か昔とは違う違和感の様なものを感じて仕方がなかった。
　浅田部長に仕向ける手順の説明をする大輔を、少し距離を置いて離れた所から見ているような感覚、大輔の言葉がちっとも頭に入ってこない。あたしはあたしの身体から魂が離れたような気持ちになっていた。