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隠密の華
第2章 一
そういえば……こうしてケラケラと笑う男の言葉に、さっきの男の言葉を思い出す。
――『俺達も男だ。山賊の中には、色んな奴がいる。売る前に食われないよう気を付けろ』
そうだ。見た目は若くても、この男も野蛮な山賊。こんな明るく見えても、いつ襲い掛かってくるか分からない。警戒しないと――
「で、親は?村で一緒に住んでたのか?」
「えっ?」
「親だよ!お前の親!」
「ああ……母上は私が子供の頃にしんでしまったが、父上は……」
「どうした?」
会話の最中、突然私が言い詰まると、男が不思議そうに聞く。そして、
「旅に出た。一年前に。……この世のハレムを探しに行くと言って……」
「ハレム……?」
続けた私の言葉に、一瞬ぼーっとした。