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隠密の華
第2章 一
……そう反応する気持ちも分かる。こんな話、普通では理解しがたい。自分でも、変な父を持ったとつくづく思う。
「いくら父上にそんなもの無いと言っても、絶対あると言い張るんだ」
私が子供の頃から、父は頑固だった。そして放任主義。ただ、私が城で将軍に支えることになった時は、物凄く反対していたが。
「いや……でも、俺も聞いたことあるぜ」
「何?」
「何処かの国に、世の男を虜にするハレムの村があるってな。男の夢だな」
話をしながら太陽の様に明るく男が笑うと、私は何故か急に胸がすっとする。しかし――
「――桐(キリ)、何してる」
話を裂くように入口の方から男の声がすると、息を飲んだ。