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隠密の華
第9章 八
「私がいなくても、国はどうにかなると……?」
「ああそうだ!今は他の方法が思いつかねーけど、何とかなる!」
「本当に……?」
「本当にだ!だから……都、白夜と結婚するな!俺の側にいろよ!」
体から力が抜ける様な気分だった。私の頭を撫でていた桐から、そのまま体を抱き締められると、きゅうっと胸が苦しくなると同時に安堵する。……何なのだろう。この気持ちは。無性に桐が、いとおしい。
「……ありがとう。桐」
小さく呟きながら、私は桐の体へ更に密着する様に背中へ回した両手で桐の肩を掴んだ。