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隠密の華
第9章 八
真剣で、冗談を言ってるわけではない様な表情。……もし本気なら、失望だ。
「そのぐらいの男だったのか?一度国の為に尽くすと誓ったのなら、こんなことはやめろ」
「お前の方こそ自惚れんなよ!自分が結婚すれば国は救われると思ってんだろうが……お前一人いなくても国は何とかなるんだよ!力入れ過ぎなんだよ……もう少し、自分の為に生きろ!」
「自分の為に……?」
冷たく桐を睨んでいたが桐から頭を撫でられると、ふと我に返った様な気持ちになる。……隠密になると誓ってからは、国の為に生きてきた。一生懸命努力して、誰かに認めて貰おうと。それが私の存在意義だった気がする。いつの間にか、自分が頑張れば国は救えると。……私は自分の力を過信し、自惚れていたのか?