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隠密の華
第9章 八
桐の方が馬鹿だ。こんなことをされたら、決意した気持ちも揺らいでしまうじゃないか。
「呼びたいなら呼べよ!俺は、本気で都を行かせたくねーんだよ!」
「桐、何故そこまで……」
「都が好きだからに決まってんだろ!」
「何故私のことなんか……」
何故桐は私のことを想ってくれるのだろう。無愛想で口が悪く、女らしくもない。それに出会ってまだ数日。何故……。
「そんなに向こうへ行くって言うなら、俺もついていく」
「……は?」
「姫の護衛だ!俺が白夜の毒牙から守ってやる!」
「嘘だろ……」
まっすぐな目で桐が話すと、私は呆然とする。