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隠密の華
第9章 八
「頼むから、それだけはよしてくれ……」
「無理だ。もうついて行くって決めたからな」
「桐!子供みたいなことを言わないでくれ!」
頑固に桐が話すと、そのまま顔を青ざめる。桐が向こうの城へ戻れば、きっと拷問が待っているだろう。一度私を連れて逃げたんだ。ただじゃ済まない。それが分かっていて、桐はついて行くと言うのか……?
「都。頼む。側にいさせてくれ」
「……分かった。桐の覚悟は本物だということ。でも、約束してくれるか?」
「約束?何だ?」
「死なないで……」
桐の覚悟に胸を打たれて、いてもたってもいられず今度は私から桐の首へ両手を回し、桐を自分の方へ引き寄せると、ぎゅっと抱き付いた。