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隠密の華
第10章 九
その後すぐに離れ、唇が触れていたのは一瞬だった。……が、予想以上に私の心臓は高鳴ったまま。顔は紅潮し、体温は湯気が上がると思う程高まる。
「白夜……」
「胡蝶は、すぐに子を作りたいか?実を言うと……俺はまだ子は欲しくない。子が出来ると、女は夫をほったらかし子ばかり可愛がるからな」
「えっと、その話は、また今度ではいけませんか……今は余裕がなくて……」
「そうか。しかし余裕がないと言ってる暇はないぞ。俺はそんなに待てるような男ではない」
早急にもう一度唇が重なると、私は驚きながら目をぎゅっと閉じる。……どうしたら良い。本当にする気なのだろう。段々と深まっていく口付けに、私は逃げられないと悟った。