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隠密の華
第3章 二

――私は絶対、設樂様に会わねばならないのだ。

『設樂様、お約束ください。絶対この事は内密に』

『ああ、分かっている……父上にも秘密だ』

二人で約束したのは、半年前の事だった。城にある設樂様の部屋へ呼び出され、ある頼み事をされたのが全ての始まりだ。

『俺が父上の跡を継ぎたく無いと話しても、父上は許してくれない。だから俺を……戦で行方不明になった事にすると、この秘密を誰一人にも他言しないと誓ってくれ』

目の前に立つ設樂様から両肩を掴まれながら言われると、私は断れなかった。
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