この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第11章 十
「ところで、桐も元気か?」
「ええ。相変わらず憎たらしい奴ですが、元気です」
「……お前には辛い思いをさせているな。すまない」
唐突に申し訳なさそうに設樂様は、笑顔の私へ向かって謝る。……本当に優しい方だ。偉ぶらず、部下へも頭を下げてくれる。
「いえ」
「本当に好きな男と夫婦になりたかっただろう……」
「……そんな事は」
「白夜はどうしている?優しいか?」
「ええ。優しくて尽くしてくれます……」
ただ何気なく設樂様と会話をしていただけだったが。続けられた設樂様の言葉を聞くと、私は困惑した。
「その様子だと、本当にアイツに惚れたか?」
「そんな馬鹿な!まさか、そんなわけありません!」
設樂様は私を見て微笑むだけ。……これは絶対、私が白夜に惚れていると思っている。否定すればする程、誤解は解けない気が……。