この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第13章 十二
「胡蝶、今日は疲れただろう?もう休むか?」
式典を終え部屋へ戻ると、一緒に戻った白夜から尋ねられた。……今朝の桐との事があって、白夜といると胸が痛んでしまう。絶対に桐とのことは白夜に言えないが……。
「ええ……疲れたから、もう寝ます……おやすみなさい、白夜……」
寝台へ近付いていき、そのまま横になろうとする。まさか、白夜まで一緒に寝台へ横になるとは思わなかった。
「俺も寝る」
「えっ!?白夜も!?」
「駄目なのか?」
「……今日は、私疲れているので……」
まずい。一緒に寝て白夜が何もしてこないわけがない。今日は無理なのに。桐との事があって、心の整理がまだ……。
「胡蝶、今日は結婚記念日だ。本当に、俺の妻になってくれて感謝している」
「っ、私こそ、感謝しているわ……」
「愛しているよ、胡蝶」
私の上に覆い被さった白夜から優しく微笑まれると、私はまた胸が痛くなった。