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隠密の華
第16章 十五
「……誰だ?入れ」
ムッとしながら白夜が寝台から立ち上がると、扉が開き、中へ誰かが入ってきた。
「都が来ているそうだな」
その久しぶり聞く声に、私も嬉しくなって寝台から起き上がる。
「設樂様!」
「都、元気そうだな。……会って早々、白夜から襲われていたのか?」
設樂様は微笑みながら私達の方へ近付いてくると、そのまま私へ視線を向けつつ続けた。
「俺も会って早々悪いが、都に頼みがある」
「頼み?何でしょうか」
「新しい密命だ。木蓮(もくれん)国の王子の妾になり、国の内情を探って貰いたい」
「め、妾に……!?」
設樂様の言葉を聞き、驚いたのは私だけではなかった。