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隠密の華
第1章 プロローグ
そこで何処か寝泊まり出来る場所はないかとこの村を見つけたが……。まさか山賊の住処になっているとは思わず、見張りの山賊達からすぐに気付かれて捕まってしまった。噂では山賊は野蛮で非情だと聞く。早く逃げ出さなければ、この男もきっと――
「まあ良い。俺達の縄張りに入った以上、お前はここから逃げられない」
「……何?」
「お前を買いたがっている男がいる。その男が着くまで、暫くの間はここに居て貰うぞ」
「……!私はただの村娘だ。何の価値もない……」
「価値ならある」
冷たく言い放つと男は顔を青ざめる私へ、低い声で問う。
「お前、処女だな?」
「っ……」
「処女は高値で売れる。諦めて暫くここで待つんだ」
黙り込む私へ、男は再び無情に言い捨てた。