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隠密の華
第4章 三
……紫水が城の関係者ではないのなら、白夜と接触する為にはどうしたら良いんだ。白夜の好む女を探すには。
「では、どうして私達を……」
「私には家族もいない。しぬと分かったら、寂しくなってしまった」
「紫水様……」
冷たい手で両手を握られたまま悲しそうな瞳で見つめられると、思わずその手を握り返した。今日会ったばかりとは言え、病気の人間を前にして冷たくは出来ない。それに紫水を見ていると、病気でしんだ母を思い出す――
「それにしても……お前、あの娘に顔がよく似ている」
「あの娘とは……?」
「胡蝶(こちょう)という名前だったか……白夜様の許嫁だった娘だ」
「……!白夜様の!?その胡蝶という娘は、誰なのですか!?」
母と紫水を重ねていると、紫水がふと思い出すかの様に言った言葉を聞き、私はすぐ聞き返した。