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隠密の華
第4章 三
「紫水様……恥を忍んで頼みがあります。私を、火凰国へ帰してはくれませんか?」
一筋の光が見えた様な気がした。きっと二人を会わせれば、密命は果たされ、双国の争いが終わる。設樂様の望んでいる平和な世になる……。
「それは出来ない。分かっているだろ?お前達はもう私のもの。私がお前達を手放すことはない」
「お願いします……私にはすべき事が……」
「どうしてもと言うなら、さっきの命令に従ってお行き」
「命令……?」
すがるような目で紫水に頼んだが、急に冷たく睨み付けられると、私は顔を青ざめた。……きっとさっきの命令のことだろう。従えば国に帰れる。だが、しかし……。
「舐められないのか?処女には難しいようだね?」
「っ……」
きつく睨まれながら片手で顎を上げられると、眉間に皺を寄せる。