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隠密の華
第5章 四
「ンッ……」
何だ?これは。……足の先から感じる生ぬるい感触。と、同時に、ピチャッピチャッと響く音。
確か私は紫水の部屋で急に倒れて……。何故こんな冷たくて暗い場所にいるのだろう。
「起きたかい?ここは家の地下にある地下牢だよ」
「紫水っ……」
「どうやらお前、隠密だね?変だと思って、体を調べさせて貰ったよ」
「体を……?」
床から体を起こし、私の足元に座っている紫水を見る。途端に私の着物がはだけている事、それに紫水が私の足を持って舌を這わせている事に気付き、背筋を凍らせた。
「太腿にある痣、それは火凰国の紋章。城の者にしか与えられない。女なら、隠密しかそれを与えられない筈だ」
「お前、何をしてる……!」
ペロッペロッと繰り返し紫水が足先を舐めると、着物で体を隠しながら尋ねる。……コイツ、そういう気は起きないと言っていたくせ、どういうつもりだ。
「隠密と聞いてはただじゃおけない。私も城の人間だった男。国に悪さしようとする鼠には、罰を与えなくては」
「悪さなど……私は双国の平和の為に!」
「平和?そんな事言って、どうせ我が国の弱味でも握りにきたんだろ?……全部、吐かせてあげるよ」
冷たく睨み付ける私へ、紫水がニタリと薄気味悪く笑うと、そのまま両足を掴まれる。