この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠密の華
第5章 四
* * *
「桐!」
再び二階にある紫水の部屋へ入ると、私は床に仰向けに倒れている桐へ近寄り、桐の前でしゃがんで桐の頬を何度も叩いた。
「……んー、都?」
「逃げるぞ!起きろ!」
「……は?お、お前!何だ、その格好!」
「話してる暇はない。早く逃げないと、また紫水に叩きのめされるぞ!」
目を覚ました桐が私の着物がはだけている姿を見て驚くと、冷静に告げる。
「分かってるけどよぉ……その裸見たら、俺の息子も目覚ましたというか。覚醒したというか……」
「ころされたいのか!早くしろ!」
体を起こしながら桐がもにょもにょと話すと、いい加減怒鳴った。