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隠密の華
第2章 一
* * *
「何だこれは……?お前、本当に女か?おっぱいついてんのか?」
調理場はまた別の住処にあった。そんな此処へ案内される事、数十分。出来上がった料理を見て、男はおぞましそうに声を震わせた。……何とか、知恵を振り絞って料理してみたが。
「やはり駄目だったか」
「女……お前何でそんな顔色一つ変えずに言ってんだ?料理出来ないなら言え!」
「ごめん」
完成した到底人が口に出来ない様なものを前に、自然と謝罪の言葉が漏れる。初めは手を縛っていた縄を解かれ喜んでいたというのに……。料理しながら逃げる隙を伺っている内、あっという間竈の鍋にこれが完成していた。かろうじて確認出来るのは、鍋に浮かぶ猪の首だ。
「お前……これはないわ。誰も嫁にしたくねーわ」
「私売られるんだがな…」
呆れ果てた男に対し私が返事を返すと、しん…とその場が静まり返る。