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隠密の華
第7章 六
……監禁。白夜なら本当にするだろう。ここまで愛される胡蝶が、不憫で仕方ない。
「男、お前の名は?」
「……桐」
「桐か。お前は城の兵士として将軍に仕えろ。胡蝶の知り合いならば、それで許してやる」
「何だと!何で俺が敵国の兵士にならないといけねーんだ!」
「嫌ならまた地下牢に入り、拷問されるか?」
重苦しい雰囲気の中、白夜が桐へ話し掛けると、桐は不機嫌そうに顔を歪めた。しかし白夜からの問いに、暫く考えると仕方なさそうに答える。
「……分かったよ」
「では皆、城へ戻るぞ」
そんな桐と目を合わせたが、桐はすぐに白夜から抱き締められたままの私から目をそらし、その後も再びこちらを見ることはなかった。