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ジャンクフードでできている
第19章 クコ
散歩をする
用水路沿いに冬の田畑を抜け
刈り込まれた芝の丘を越えて
背の高い落葉樹から
オレンジ色の葉が落ちてくる
私は女性が好きだ
でも
いつからか
私は男性として女性と
セックスすることができなくなった
自分が女性とキスをすることすら
想像するだに恐ろしい
かといって
男性を求めているわけでもない
今は女性として女性を欲して
私は女装をするのだった
でもそれは間違っている
ただ変態的な性に
倒錯しているだけなのだ
自分でも気付いていない
何らかの障壁から
逃避しているだけなのだ
でも、この寂しさは
いったいどこから来るのだろう
自己女性化愛好症
異性装障害
そうなのだろう
きっと分類するとそんなことなんだろう
多様性の時代といえど
だいたいおおまかに分類される
つまり、私はそこいらによくいるただの異常者で
通常、たいていの正常者からは理解されることはない
そうして、だいたいは排除される対象となるのだけれど
私だってできることなら、誰にも迷惑はかけたくない
息が白い
私は整備された遊歩道を外れて
落ち葉を踏む
お気に入りのスカートがゆれる
だれにも見せられないけれど
今日はお化粧も少し上手くできた
しゃくしゃくと
茶色や赤の葉っぱがいう
一人、自由な森の中
私は歩いていく
木々の間から見える空は
青い
斜めから差す太陽が
わずかに暖かい
ここに私は一人だ
誰にも見られることはない
でも私はここにいる
誰にも見つけてもらえないまま
孤独感
私の脳には何らかの欠陥があるのだ
きっと女性に生まれていても
真っ当なモノにはなれないだろうとなんだか思った
少し湿った石に座ると苔が手に触れた
有性生殖に無性生殖
理科で習った知識が
頭の奥の方で浮かんで
少しおかしかった
冬の日は早く暮れる
もう辺りは薄暗い
このまま戻らずにいようか
ふと考える
このまま、このままでいようか
振り返ると、町の明かりが見えた
そう、そうなのだ
少し迷って
休憩しただけ
そう、だから
もう、なにも考えずに
帰ろう
帰ろう
「冬の散歩と倒錯について」
「」
用水路沿いに冬の田畑を抜け
刈り込まれた芝の丘を越えて
背の高い落葉樹から
オレンジ色の葉が落ちてくる
私は女性が好きだ
でも
いつからか
私は男性として女性と
セックスすることができなくなった
自分が女性とキスをすることすら
想像するだに恐ろしい
かといって
男性を求めているわけでもない
今は女性として女性を欲して
私は女装をするのだった
でもそれは間違っている
ただ変態的な性に
倒錯しているだけなのだ
自分でも気付いていない
何らかの障壁から
逃避しているだけなのだ
でも、この寂しさは
いったいどこから来るのだろう
自己女性化愛好症
異性装障害
そうなのだろう
きっと分類するとそんなことなんだろう
多様性の時代といえど
だいたいおおまかに分類される
つまり、私はそこいらによくいるただの異常者で
通常、たいていの正常者からは理解されることはない
そうして、だいたいは排除される対象となるのだけれど
私だってできることなら、誰にも迷惑はかけたくない
息が白い
私は整備された遊歩道を外れて
落ち葉を踏む
お気に入りのスカートがゆれる
だれにも見せられないけれど
今日はお化粧も少し上手くできた
しゃくしゃくと
茶色や赤の葉っぱがいう
一人、自由な森の中
私は歩いていく
木々の間から見える空は
青い
斜めから差す太陽が
わずかに暖かい
ここに私は一人だ
誰にも見られることはない
でも私はここにいる
誰にも見つけてもらえないまま
孤独感
私の脳には何らかの欠陥があるのだ
きっと女性に生まれていても
真っ当なモノにはなれないだろうとなんだか思った
少し湿った石に座ると苔が手に触れた
有性生殖に無性生殖
理科で習った知識が
頭の奥の方で浮かんで
少しおかしかった
冬の日は早く暮れる
もう辺りは薄暗い
このまま戻らずにいようか
ふと考える
このまま、このままでいようか
振り返ると、町の明かりが見えた
そう、そうなのだ
少し迷って
休憩しただけ
そう、だから
もう、なにも考えずに
帰ろう
帰ろう
「冬の散歩と倒錯について」
「」