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溺れる金魚
第33章  ホワイトクリスマス
23日中に帰りの飛行機に乗れば十分に紗良と二人でクリスマスを楽しめる。

それなのに、何がいけなかったというのか。



明日23日は爆弾低気圧がやって来る事が確実で、既に殆どの便が欠航を決めていた。



佐野と近江の帰りの便は早くても24日の夜。

最悪25日中に家に着けばラッキーな程度。


新幹線という手もあったが、それだって立ち往生してしまえばいつ家に辿り着くかも分からない。



そう分かっていながらも北の大地に向かわなければいけないこの状況が憎くて堪らなかった。



近江が悪いわけではないから、当たり散らすわけにもいかずに佐野は先ほどからずっと、小さな窓の下の方に見える、満月に照らされて浮かび上がる雲海をぼんやりと眺めていた。



無意識にため息が漏れる。
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