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溺れる金魚
第1章  プロローグ ~狂う~
眼鏡の奥で、男の目が更に細くなる。



指は二本ではなく一本。


それを浅く挿入しては引く。

抉ったり掻き混ぜたりなんかしない。



ただ、まっすぐに伸ばした人差し指をゆっくりと差し込んでは第二関節より手前でさっと引き抜く。

それを無機質に何度もただ繰り返すだけ。



「ダメ……なのぉ!もっと!もっと頂戴っ。お願い……だからあぁっっ奥まで、入れてぇっ……掻き混ぜてぇぇっ」


「俺だって辛いんだよ、紗良。出来ることなら早く君をイカせてあげたい。でも、これは、お仕置きなんだ。分かるだろ?」


上からも下からも涎が滴る。

もどかしく狂う紗良に、男は囁いた。



「まだ、駄目だよ。紗良、まだすぐにイカせたりなんてしない。その、俺に溺れて狂っていく君を……もっと見ていたいんだ……」
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