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**情画**
第7章 曙
「沙絵さん、好きでもない人の子だからと沙織さんが思っていたら、ご両親の意向通り、貴女を産まないという選択肢があったわ。
弱っていた体で病院から逃げ出してまで貴女を産もうとしたのだから、貴女は望まれない子供ではないわ。
沙織さんに愛されて生まれてきた子供なのよ。」
沙絵さんは疑いの目で見ている。
「命って、女性の体って不思議よ。
男性を迎え入れた結果、妊娠するわけだけど、
胎内に命があるとわかった途端、母になるの。
相手との問題などより、自分のお腹に命を宿しているということを実感できるのよ。
そこから、まだ生まれてはいない命と母親の関係は始まっているのよ。
出産までの何ヵ月もの間、自分の体を胎児と共有して生きていくの、栄養を分け、胎動を感じ、話し掛けお腹を擦る。
生まれる前から愛されているのよ。
生まれてこなくていい赤ちゃんなんているわけないじゃない。
沙織さんはきっと命と引き換えに貴女を産むことを告げられているはずよ。
貴女を見殺しにして助かる方法があったのかは知らないけど、生まれる前から愛していたから、貴女を産んだのよ。
貴女が生まれるまでの様子を後で先生に聞いてみたらいいわ。」