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5センチの景色
第2章 セ
そんな私を見てプッと噴出して笑った。
「いや、ごめん。こっちの事。ああ・・・うん。もう帰って平気だ。ありがとう」
そのまま電話を切って私に笑いかける。

「行こうか」

「ど、どこへ?」
「俺んチ」

「今システムに残ってるヤツがちょっと心配で近くに居たんだが
今の電話で一段落ついたようだから、もうこの店から離れても大丈夫だ」

あ、ぁ。仕事が心配だから会社の近くで飲んでたんだ。

でも・・・いきなり俺んち、ですか?
え?いきなり?

「飲みに、とかじゃなくて?」
「ん?さっきちゃんと食べてないのか?」
「イエ、お腹はいっぱいです」
「よし」

そう言いながら片手をあげてタクシーを止めた。

「あの」
「何?ホテルが良い?」

そーゆー事じゃなくてっ!

「いきなりエッチは出来ないです!」

そう言った私に運転手さんが一瞬固まったのが分かった。
言われた安達さんは大声で笑って

「高橋サン。今のは大人の対応じゃないな」

いつまでもクックックと笑う。
私の名前・・・知ってるんだ。

「どうしても嫌なら、最寄駅まで送るよ。
でもキミが大声で望んでいた大人のオフィスラブは他の人とするんだな」

え?大人の恋ってこんなに急展開なの?

「だ、段階は?」
「段階?」
「手をつなぐとか」
「はいはい」

安達さんはシートにあった私の手を握った。

「え・・・あ!キスは?」
「さっきしたじゃん」

くすくす笑いっぱなしですけど・・・
私は真剣なんだけど!
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