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3分間のナイトトリップ
第2章 美味しいキノコを召し上がれ

「でも、アンタの伯母さん、生涯独身だったんでしょ?なんか、欲求不満でひそかにこんなもの栽培してたんだったりして」
エミは、マキの声で、物思いから引き戻される。
「伯母さんは若い時に一度結婚したことがあるって聞いたし、けっこう綺麗な人で、恋人もいたと思うよ」
この家は、元はエミの祖父母の家で、祖父母が亡くなった後は、バツイチの伯母がずっと一人で住んでいたのだ。
なんでも若い時に一度結婚したのだけれど、たった半年で離婚して、この家に戻ってしまったんだとか聞いた。
物静かな人だったけど、なんだか妙に色っぽい雰囲気があって、男の人にはモテたんじゃないかという気がする。
「そうなんだ。でも、お婆ちゃんの家だって聞いた時は、どんだけ古いのって思ってたけど、けっこうきれいだし、良かったんじゃない?」
そう、通勤時間は半分になったし、30歳を目前にして、だんだん実家もいづらくなってきたので、この家に住めるようになったのはちょうど都合が良かったのだ。
伯母は几帳面だったらしく、古い家でもきれいに手入れされていたし、亡くなった後に残された荷物はわずかなものだった。
エミがこの家に住みたいと言った時は、母親も反対したけれど、きちんと手入れして住むからと粘ったら最後は認めてくれた。
母にしても、親の家を売ってしまうのは寂しい気持ちがあったのかもしれない。

