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第5章 ネトラレた男…。

人間は一生ぶんの屈辱や絶望と遭遇したら…


いったいどれ程の涙が流れるのだろうか？


勇樹もきっと
博子と子供を養うために
イチ社会人では
博子の収入に足元にも及ばないとは
理解しながらも
妻と子供のために
粉骨砕身でお仕事も頑張っていたんだよね……


あ…！
それは利明も同じかな？


春奈は泣きじゃくる勇樹を前にして
利明のことに思いを巡らせていた。


そして
目の前で
はなみずをたらし
泣きじゃくる勇樹にふと母性がくすぐられた…。



春奈は
身体を丸めて泣きじゃくる勇気のそばにまわり
そっと背中を撫でた…。


勇樹は
博子の失踪以来
極度の緊張と不安と寂しさと屈辱…
抱えていたすべての者を
背中を撫でていた春奈に吐き出すかのように
春奈にもたれ掛かり
泣いて…
…そして少しだけ眠りについた………。