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第5章 ネトラレた男…。

春奈が博子に
話しかけるべき言葉を探している…
その沈黙をついて


『ねえ…。すごくイイの……。　……生きてる！愛されてる！　　女に生まれてきてよかった…。　　………それが今回の騒動になっちゃってることの理由かな…理由にはならないけど…。わかってるけど…　…もう戻れないのよ…きっと…。』


すごくイイの………って

いったい何なの？
妙に春奈の心に滲みる言葉だった…。



博子は
結婚して
旦那の勇樹には
大事にされていたことは実感していたが
子供が生まれたら
春奈と同じように
ママとして旦那に見られるようになったようだ…


博子もそは
当たり前のことと疑いもしなかったが…

『各務さん！各務博子が今のままでは、単なるママタレで終わるよ！君は表現者！リアリティーを求める表現者なんだ！　愛されて輝く女性を体現するんだ！俺は、昔から各務博子を愛していた！俺と一緒に身体が求めあう愛を表現しないでどうするんだ！』

博子は森川大五郎から
そう長い間ずっと
諭され続けて
先日の映画撮影で………

勇気が春奈に伝えていたとおり
ハードコアを演じてしまったのだ………。


スタッフの見つめる前で
本当に森川大五郎と肉体関係をもち……

博子のなかで
なにかが弾けたのだった！

女優として
表現者としての
深い深い世間一般のモラルが通じない
そんな世界に足を踏み入れてしまった…。


博子は春奈にそう伝えた…。


……少しだけ
うっすらと
なんとなくその衝動は春奈にも理解できた。