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11時間空の旅
第12章 ☆あと0時間
「ご搭乗のみなさま、当機は新東京国際空港に着陸いたしました」
(あ、着いちゃった)
なにも言えなかった。最後は視線を交わすだけ。
(本当にこのままお別れ??)
「ありがとう。会えてうれしかった」
彼が席を立つときに耳元で言ってくれた。
「私もです・・さようなら」
(あーー本当にこれで終わっちゃうんだ。さよならなんだ)
そう思ったら、私は体が勝手に動いたかのように彼の長い腕をとって
彼の唇にキスをしていた。
立ちあがっていたので降機準備のほかのお客さんだちの目が・・・・
一瞬驚いたような顔をした彼が言う。
「ありがと。一緒に降りよう」
やさしい彼の言葉が聞こえて、私は頷いた。