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第32章 彩香、悲しみの中へ

圭子は、彩香があまりにも可哀想で

涙が出てきて止まらなくなってきた。

どうして、彩香ちゃんのような、良い娘が

こんな辛い事ばかり降りかかるのか、

山名弁護士「彩香ちゃんは、

母親に見捨てられたんです。

父親には、いっぱい愛情を注がれて育ちました。

でも、母親には、愛されずに育ちました。

今、どこにいるか知らないと思います。

親子の縁を切られたんです。

高校生だったんです。父親に先立たれ

母親に捨てられてから、

私たちはいましたけど、

母親に言われ続けた事が

頭から離れなかったのでしょう。

自分は、誰にも愛されないと思って

生きてきたようです。

でも、真君に愛されて、やっと幸せになれると

私共も喜んでいたんです。

真君と離れては暮らせない。

愛しているのだと、恥ずかしくもなく

堂々と言っていました。

なのに、その真君の事を分からないなんて、

それほどのダメージを与えた奴を許せません。」