この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒蜜喰らわば
第1章 パワースポットでの怪
赤い鳥居を見上げてから、境内を取り巻く小さな森を見回す。
頭のうんと高い所まで深い緑の葉が茂り、
キラキラと光って見えるのが葉の隙間から見える青空。
東京の、大都会のど真ん中にはいささか不釣り合いだと私がぽつりと口にすると、
一緒に天を見上げる咲枝が「じゃあ代々木公園はどうなのよ?」と言い返す。
そっか、と気の抜けたつぶやきを返す私。
でも・・なぜだかこの場所だけが違和感のある都会のオアシスだと思えたのだ。
「それよりはやく、御朱印貰おうよ。
あとおみくじと、それからお守りと・・」
「ちょっと咲枝、まずはお参りが先じゃない。
本に書いてあったよ、お参りしてから御朱印頂くんだって」
先に歩き出して手でこまねくしぐさをしながら咲枝を振り返る。
遅れをとった咲枝は急いで私の隣りに並んで拝殿へと進み出た。