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毒蜜喰らわば
第8章 禁断の扉が開いた・・
何もしゃべらぬまま駅まで来てしまった。
黙ったままでいた私に茂が心配そうに訊ねる。
「ううん、違う!そうじゃないの。私ってこんなに大胆だったかなって、
ちょっと恥ずかしくなって・・」
行為のことじゃないよ、行動にでたことがだよ、と
照れ笑いを浮かべながら付け足すと、
茂のほうも恥ずかしそうに頭を掻いた。
「実は僕も・・同じだよ。あんなふうに情熱的な気持ちがあったんだって、
自分で驚いてる。彼女と付き合って1年も経つと
安定感の上に胡坐をかいてここまできたのにさ」
茂の笑い声は人ごみの騒音にかき消され、笑顔だけが私の前に残っている。
「僕達、互いに魅かれてしまったからこうなった、
やっぱりそれがすべてなんだよ」
そうだ、そうなんだ。
茂に言われてやっと納得できた。
自分の気持ちに、自分の行動に。
想いに行動がついていった、ただそれだけのことなんだ。
「稲村さん・・また会ってくれますか?」
「はい」
立ち止った心も体も動き出した。
行き交う大勢の人々の中をかき分けるようにして地下鉄の改札を通り抜け、
そして左右に別れる。
振り返って手を振った私の姿を確認するようにして、
茂も手をあげ階段を下りて行った。
黙ったままでいた私に茂が心配そうに訊ねる。
「ううん、違う!そうじゃないの。私ってこんなに大胆だったかなって、
ちょっと恥ずかしくなって・・」
行為のことじゃないよ、行動にでたことがだよ、と
照れ笑いを浮かべながら付け足すと、
茂のほうも恥ずかしそうに頭を掻いた。
「実は僕も・・同じだよ。あんなふうに情熱的な気持ちがあったんだって、
自分で驚いてる。彼女と付き合って1年も経つと
安定感の上に胡坐をかいてここまできたのにさ」
茂の笑い声は人ごみの騒音にかき消され、笑顔だけが私の前に残っている。
「僕達、互いに魅かれてしまったからこうなった、
やっぱりそれがすべてなんだよ」
そうだ、そうなんだ。
茂に言われてやっと納得できた。
自分の気持ちに、自分の行動に。
想いに行動がついていった、ただそれだけのことなんだ。
「稲村さん・・また会ってくれますか?」
「はい」
立ち止った心も体も動き出した。
行き交う大勢の人々の中をかき分けるようにして地下鉄の改札を通り抜け、
そして左右に別れる。
振り返って手を振った私の姿を確認するようにして、
茂も手をあげ階段を下りて行った。