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毒蜜喰らわば
第1章 パワースポットでの怪
「え?私じゃないよ。だってさ、一人づつ御神木の前に立ったよね?」
目を丸くした咲枝の顔を見つめながら自分の表情が暗く変わるのが自身でわかる。
たしかに、咲枝の言うように御神木に触れる時は一人だった、と思う。
列を作った人々は、順番が来ると踏み台の上に乗って
御神木を撫でたりさすったりした。
横から誰かが割り込んでくることはできない。
大勢の目があるのに横入りはまず無理だ。
じゃあ、あの手の感触はいったい・・・?
「もしかしたらさ、願いが叶うっていう前兆なんじゃない?
縁結びの神様が美智の手をとって導いてくれるんだよ、きっと」
「そうなのかなぁ・・」
咲枝の前向きな言葉をそのまま呑み込むことができずに、
感触の残る左の手のひらに
ぼんやりとした視線を落とした。
目を丸くした咲枝の顔を見つめながら自分の表情が暗く変わるのが自身でわかる。
たしかに、咲枝の言うように御神木に触れる時は一人だった、と思う。
列を作った人々は、順番が来ると踏み台の上に乗って
御神木を撫でたりさすったりした。
横から誰かが割り込んでくることはできない。
大勢の目があるのに横入りはまず無理だ。
じゃあ、あの手の感触はいったい・・・?
「もしかしたらさ、願いが叶うっていう前兆なんじゃない?
縁結びの神様が美智の手をとって導いてくれるんだよ、きっと」
「そうなのかなぁ・・」
咲枝の前向きな言葉をそのまま呑み込むことができずに、
感触の残る左の手のひらに
ぼんやりとした視線を落とした。