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梅の湯物語
第2章 深夜営業やってます
夜9時を過ぎれば梅之木町に中学生以下の子供の姿は見当たらない。
他の町なら塾帰りの子供が夜遅くまで平然と夜道を歩いているが梅之木町では子供は9時に寝るのが暗黙の了解。
通りの向こうから商店街を駆け抜け梅の湯に飛び込んできた男が一人。
「お梅さん、遅くなっちまった。
すまねぇ」
番台で丸まって寝ているお梅に声をかける。
男は30過ぎの若者で役所で働いている。
ゆっくり頭を上げたお梅は
「じゃ、あとは頼んだよ
守さん、帰ろうか」
よっこいしょと立ち上がり番台をおりたお梅さんの肩に置物と思っていた緑色の鮮やかなインコが飛び乗った。
「お梅さん、守さんおやすみ」
男は杖をついてゆっくり歩いていくお梅さんとインコを見送った。
男は暖簾を“混浴”にかけかえた。
梅の湯は夜10時から混浴営業。
昔は混浴だったがGHQ の風俗上の問題という通達で東京では混浴は基本的にはなくなった。
が、なぜか区役所が少子化対策ということで深夜に限り混浴営業をすることを梅の湯に“お願い”に来てそれから混浴営業が始まった。
だから店番は役人が交代でやっているのだ。
というわけだから親としても夜の街を子供にフラフラと歩かせるわけにはいかない。
梅之木町には大人の時間が存在する。
他の町なら塾帰りの子供が夜遅くまで平然と夜道を歩いているが梅之木町では子供は9時に寝るのが暗黙の了解。
通りの向こうから商店街を駆け抜け梅の湯に飛び込んできた男が一人。
「お梅さん、遅くなっちまった。
すまねぇ」
番台で丸まって寝ているお梅に声をかける。
男は30過ぎの若者で役所で働いている。
ゆっくり頭を上げたお梅は
「じゃ、あとは頼んだよ
守さん、帰ろうか」
よっこいしょと立ち上がり番台をおりたお梅さんの肩に置物と思っていた緑色の鮮やかなインコが飛び乗った。
「お梅さん、守さんおやすみ」
男は杖をついてゆっくり歩いていくお梅さんとインコを見送った。
男は暖簾を“混浴”にかけかえた。
梅の湯は夜10時から混浴営業。
昔は混浴だったがGHQ の風俗上の問題という通達で東京では混浴は基本的にはなくなった。
が、なぜか区役所が少子化対策ということで深夜に限り混浴営業をすることを梅の湯に“お願い”に来てそれから混浴営業が始まった。
だから店番は役人が交代でやっているのだ。
というわけだから親としても夜の街を子供にフラフラと歩かせるわけにはいかない。
梅之木町には大人の時間が存在する。