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梅の湯物語
第13章 関西からのお客さま
爽やかな風が吹きそよぐ5月。
新緑も目に眩しい。
町行く人も心なしか足取りが軽いようだ。

お梅は梅の湯の入り口の長椅子に座ってインコの守さんを膝にのせコクリコクリと気持ち良さそうにうたた寝をしていた。

「あ~やっと着いた。
 ここが梅の湯かぁ」

老夫婦が仲良く並んで少し遠くから梅の湯を眺めていた。

「ここが重さんが言っていた桃源郷なんですか?」

「せやせや」

耳慣れない関西弁にお梅の目がうっすら開く。

「あーお梅さんやないか!」

小走りで近づく老人にお梅は目を細めた。

「あらま、良太さんに汐さんじゃないですか」

お梅はよっこらしょと腰をあげる。

「こんな遠くまで」

老夫婦はお梅の前まで歩いてきた。

「お梅さん、今はそんなに遠くはないんや。
 新幹線であっちゅう間に東京や

 しかし噂の桃源郷がまさかお梅さんの銭湯だったとはなぁ」

再会を喜ぶ老人達が手を握りあっている。

「噂の桃源郷ですか?」

お梅は首をかしげる。

「そうなんだ巷ではいま話題なんだよ」

「? もしや重さんと知り合いでしたかね?」

お梅が何かを思い出したように言った。

「ああ。今年は絶対に梅の湯にいかなきゃダメだって言われてね」

「重さん、奥さんに先立たれてずっと塞ぎ込んでいたんですけど、ここから帰ってきてからは社交ダンスだのグランドゴルフだの人が変わったように動き回っているんですよ」

汐さんが楽しそうに話す。

「何かご利益でもありましたかね」

お梅は呟く。

老人たちは笑いあった。


「遠いところよく来てくれましたね。
 奥でお茶でも飲んでいってくださいな」

お梅は先にたって自宅へ案内しようとする。

「あ~お梅さん、
 先にひとっ風呂浴びてもええかね?」

良太さんが声をかける。

「構わないですけどね...いま行くととんでもない目に遭うと思いますよ」

お梅が振り向きニヤリと笑う。

「とんでもない?」

汐さんが不思議そうに聞き返す。

「まあ、良太さんだけ行ってみればいいですよ。
 汐さんは私とお茶でも飲みましょうか」

汐さんは不思議そうな顔をしている。

時刻はまだ昼前
普通の銭湯ならまだ営業もしていない。

良太さんは梅の湯の暖簾をくぐり、汐さんはお梅とともに歩いて行く。


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