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梅の湯物語
第4章 昼下がりはマダムの時間
梅の湯には離れがある。
江戸の時代にお殿様が使っていた名残。
戦争で一度は焼けてしまったが、風情のある小さな中庭と数奇屋造りの美しい空間を再建してほしいという声にお梅さんが応えた。
梅の湯の脇の小さな木戸口から入る。
そこは渡り廊下になっていて今も毎日お梅さんが磨きあげる廊下や柱には年月と共に木の艶が出て、歩くと少し軋む音がなんとも言えず喧騒とは隔絶された空間を呼び覚ます。
渡り廊下を囲む小さな庭には季節の草木が植えられ
晩夏の今は蒼い桔梗が所々に咲いて、緑のもみじが鮮やかに陽を照り返している。
渡り廊下に立ちすくみ庭を眺めるマダムが一人。
どうもここの町人ではなさそうなセレブリティーな雰囲気。
物憂げな表情で庭を眺めていた。
江戸の時代にお殿様が使っていた名残。
戦争で一度は焼けてしまったが、風情のある小さな中庭と数奇屋造りの美しい空間を再建してほしいという声にお梅さんが応えた。
梅の湯の脇の小さな木戸口から入る。
そこは渡り廊下になっていて今も毎日お梅さんが磨きあげる廊下や柱には年月と共に木の艶が出て、歩くと少し軋む音がなんとも言えず喧騒とは隔絶された空間を呼び覚ます。
渡り廊下を囲む小さな庭には季節の草木が植えられ
晩夏の今は蒼い桔梗が所々に咲いて、緑のもみじが鮮やかに陽を照り返している。
渡り廊下に立ちすくみ庭を眺めるマダムが一人。
どうもここの町人ではなさそうなセレブリティーな雰囲気。
物憂げな表情で庭を眺めていた。