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梅の湯物語
第4章 昼下がりはマダムの時間
離れの引戸を開けると6畳ほどの畳の部屋。
座卓には茶器と茶菓子が用意されている。
庭に面した掃き出しの窓から庭に降りることが出来る。

静かな空間には隣の湯殿から聞こえるかけ流しの湯の音が響き
部屋には桧の香りがほのかに漂う。

湯殿の奥には寝所があり
足元の明かり取りの障子から日が射すだけで
日中でもほの暗い。
そこには褥が用意されている。


マダムは何度か訪れたこの離れの渡り廊下に佇んだままだ。

暫くすると木戸口が開く音。

マダムが裏返した木札を確かめたのだろうか
木戸口に鍵を落とす音がした。


この木戸口は普段は鍵が掛けられている。

お梅さんに予約の電話が入るとその時間に合わせてお梅さんが鍵を開ける。

先に来た方が木戸口の脇にかけてある木札を裏返しにして朱に塗られた木札で訪れていることを示す。

あとから来たものはそれを見て戸口の鍵を落とす決まりになっている。






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