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梅の湯物語
第1章 ようこそ梅之木町へ
「亮太、オメーんとこのガキどもビシャビャのまんま出ていっちまったもんだから脱衣所がびしょびしょになっちまったろ」

「すいません」

亮太と呼ばれた若い父親がシャンプーハットを被って目をギュットつぶっているまだ2才くらいの子供の頭を洗いながら謝った。

「翔、健人こっち来な」

初老の男がタオルをゆすいで二人の子供の体を拭いた。

「隆さんすみません」

若い父親が声をかける

「いいさ。
 翔、健人もうひとっ風呂浴びねぇか?」

「ええー! やだ熱いよ」

子供が抗議するが

「いいじゃねぇか、ジジに付き合えよ」

二人の子供の手をつかみ湯船へと入れてしまう。

「あっちー」

「銭湯ってのは熱いもんだ」

「こんなのいつまでも入れないよ」

「そうかぁ?
 ジジはこれじゃなきゃ入った気がしねぇなぁ」

なんていっている間に若い父親亮太がチビをつれて入ってくる。

「亮太、オメーんとこは男ばっかだな
 そろそろ女の子はどうだい?」

小さな子供を見渡した隆が言う。

「うちの嫁も女の子が欲しいっていうんだけどこればっかりは」

末っ子の頭を撫でながら亮太が答える。



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