この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
梅の湯物語
第7章 湯上がりラムネをご一緒に
「はじめまして
この春から梅之木町にやって来ました
柏木雅人です
ヨロシクね」
爽やかに笑って右手を出された。
「野元 桜です」
桜もニッコリ笑い返す。
雅人が一瞬眩しげに桜を見た。
そっと差し出した桜の手を雅人はぎゅっと握った。
桜は中学から女子校だから年上の男性に免疫がなくて...
思わずぎゅっと目を閉じてしまった。
「桜ちゃん、かわいいね」
桜の仕草に雅人はにっこりと笑った。
「雅人先生、手、握りすぎ」
葉瑠の冷めた声に
「あ、ごめん」
そっと手を離した。
桜は恥ずかしくて顔があげられなかった。
「あ、葉瑠ちゃん今日の授業、遅れずに来いよ」
「はーい」
葉瑠は気乗りのしない返事をしている。
「じゃあな」
そう言ってなぜか桜の頭を撫でた。
ビックリして顔をあげると雅人が柔らかく笑っている。
桜は口から心臓が飛び出すという言葉を体感した。